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【コラム】「チャレンジすること/杉岡達也」

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「チャレンジすること/杉岡達也(東京都チャレンジEspeleza Futsal Club監督)」

※前回までの記事はこちら
言葉で伝えるフットサル
フットサルが消えた日
自分の決断が正しくなるように

 

【2009年8月~】

退院から4ヶ月。

ようやく松葉杖無しで歩けるようになった私は三軒茶屋の喫茶店にいました。
目の前には、元フットサル日本代表の相根澄さん。
かつてピッチや映像で圧巻のプレーを魅せてくれていた、日本を代表するフットサル選手の方が今、自分の目の前にいる。
とても不思議な感覚でした。

きっかけは、リハビリをする毎日を過ごす中、前回のコラムでご紹介した整骨院の先生から、「時間があるなら人手を欲しがってる話があるぞ。」と言われたことから。
週1回、フットサルを一緒にやっていた方が、相根さんと共にフットサル普及活動を開始したという話を知り、その方へ連絡しました。
時間もあるし、フットサルは好きだったし、リハビリの毎日の気分転換になれば。

初めはそんな気持ちでした。

K9PROJECTとしての活動初日は群馬でフットサル普及活動を行っているAlla vita sportの高島大輔さんが開催された1day大会への参加。

そこへ向かう車の中には、DJジャンボさんなど、K9PROJECTとしてすでに活動されている方々がいました。
後にC’s f.c.という女子チームを私に紹介し、監督とコーチという関係を築くことになる渡邊良太さんもその車に乗っていました。
C’s f.c.に関することは、また別の機会にご紹介します。翌日には渋谷で小笠原の子どもたちと触れあいました。
年1回行われているアイランドリーグという東京の島々が集まる大会が、新型インフルエンザにより中止になってしまったため、東京本土の子どもたちとの交流戦を行いました。この2日間は、リハビリ中の私にとって、とても過酷な2日間でした。
渋谷からの帰り道。
足がとうに限界を超えていて、ほとんど歩けない状態だったので、みんなと別れてすぐにタクシーに乗り込みました。
その車中、人生がちょっとした奇縁から急激に廻りだしたことを振り返ります
身体は悲鳴を上げていても、心は弾んでいたことに気付いていました。

そして、中途半端な気持ちでは手伝えないという覚悟を固めた瞬間でもありました。

K9PROJECTの一員として、事務、経理、営業、撮影、HP作成など、運営に係る全ての仕事に携わりました。

フットサルフェスティバルの開催や小学校での授業、鹿島アントラーズジュニアの指導などで、子ども達がフットサルを楽しんでいる様子を間近で見れたことは、リハビリを続ける私にとって、癒しの瞬間でした。
子ども達の笑顔をカメラで切り取れた瞬間など、たまらなく幸せな瞬間です。
K9PROJECTはその後、NPO法人日本フットサル振興会として法人化する運びとなります

K9PROJECTの事業計画の1つにフットサルスクールがあり、澄さんはよく『チャレンジ』という言葉を使っていたことを覚えています。
イタリアへ渡り、フットサル日本代表のエースとして活躍、日本フットサルの礎を築いてきた澄さんは、きっと誰よりもチャレンジすることの重要性を理解されているのだと思いました。

私も私なりに、子どもたちが『フットサルをすること』や『チャレンジすること』を考えてみました。私は、スポーツとは人生の縮図のようなものだと捉えています。
勝つこと、負けること、競争すること、評価されること。
頑張ること、試行錯誤すること、継続すること、休むこと。
目標、仲間、協力、責任。
団体競技にはそれらを経験するチャンスがたくさんあります。大人になってからでは失敗できないこともあります。
乗り越えなければならない試練もあります。
泣いてもどうにもならない現実を受け止めなければならないこともあります。
小さい頃に失敗や挫折をしながら、それでも何とか頑張ってもう1回チャレンジするという、前に進む力を身に付けていた方が、大人になったときに有利な気がしています。その中で『フットサル』というスポーツは
・ボールに関わる機会が多い
・足でボールを扱うため、ミスすることが前提
・攻守の切り替えが多い
といった観点から、子どもにとってより良いチャレンジの場となるのではと思っています。たくさんボールに触れて、フットボールの楽しさを知ってほしい。
たくさんミスをする中、少しずつ上達していることを実感して、成功体験を重ねてほしい。
全員攻撃、全員守備をすることで、連帯感や責任感を養ってほしい。
狭いピッチで常にボールが近くにある事で集中力を養ってほしい。上記は決してサッカーや個人競技を批判したい訳ではありません。

個人的には、サッカーをプレーしている子どもが当たり前にフットサルもプレーするような時代になっていってほしいと思っています。

もちろん、子どもが1人でスポーツやフットサルをやっていればいい、という訳にはいきません。
指導者がそれらを理解した上で指導していること。
そして家族がいつでも温かくサポートしていること。
それぞれがそれぞれの重要な役割を担うことで、子どもにとって成長しやすい環境につながると思っています。

ただ、これは私の考えであって、唯一の正解ではありません。

前回お伝えしたように、自分が選んだことが正しくなるよう、子どもも、家族も、指導者も、それぞれ協力しながら前へ進んでいければ、どんな選択をしたにせよ、きっと良い方向に進むことでしょう。

【2010年9月~】

私はK9PROJECTを離れました。

フットサルは大好きですが、大好きなことを仕事にすることは選べませんでした。
かつて、音楽業界で生きていきたいと思いながらも諦めた経験があることも、少なからず影響したのかもしれませんが、『チャレンジすること』に臆した訳ではありません。
私なりに、『チャレンジしたい』と思っていました。
会社員として人並みの生計を立てながら、フットサルの魅力を伝えていくことを。
約1年間とはいえ、澄さんのすぐ隣りで、『相根澄』という方の生き方、姿勢、志を毎日見れたことは、私にとってかけがえのない財産です。
何より、一時は嫌いになっていたフットサルに対する情熱を、もう一度取り戻すきっかけを与えてくれました。
また、フットサル界で何者でもない私が、K9PROJECTを通じてフットサル界の多くの方々と出会えたことは、本当に幸運でした。K9PROJECTへ参画していた間、生活苦になることなく過ごせていたのは、澄さんのおかげです。
澄さんと出会ったばかりの私は、ビルの屋上から落ちたにも関わらず生きている、得体の知れない存在であったにも関わらず、私の面倒を見続けてくれました。
澄さんへの感謝は、こうして私なりにこの『フットサル』という競技を伝えていくことで、恩返ししていきたいと、いつでも思っています。

そして、澄さんのご活躍を、いつでも心から願っています。
本当に、お世話になりました。
今月も最後までお読みくださいましてありがとうございました。
私にとってはこのコラムも一つの『チャレンジ』なので、少しでも何かを届けられるよう、頑張ってみます。
来月はK9PROJECTを手伝う最中、渡邊良太さんの紹介で就任した女子フットサルチームC’s f.c.のことを書いていこうと思います。
次回もまた、よろしくお願いいたします。
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※Sorriso(ソヒーゾ)、スマイル(笑顔)のポルトガル語
ここまでスマイルフットサルとして活動をしてきた中で、選手、監督、コーチ、サポーター、フットサル施設・ショップ・メーカーの方、チーム運営者、メンタルトレーナー、個サラー、協会の方・・・フットサルというスポーツに携わっている色んな立場の方にお会いさせていただきました。
そこで共通しているのは、立場は違えど、方法は違えど、「フットサルへの熱い想い、信念を持ち、行動している」ということ。
SNSが普及した今、個々人がメディアをなっています。その素敵な想いや行動を各々で発信している方達もおりますが、Facebook上であったりTwitter上であったりと、彼らの周り以外に波及することが少ない状況です。
そこで「Sorrisoコラム」をその想いの発信拠点として、フットサル界を盛り上げていけたらと思っております!!
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